古来より伝承されてきた祝詞(のりと)には現実や未来を変える力があります。
神社でご祈祷を受ける際は神職の方が祝詞を奏上(そうじょう)し、私たちの願い事を神様に届けてくれますが、自分自身でも日頃から祝詞を唱えると「神様と繋がる+願い事の引き寄せ」ができます。
奏上(そうじょう)とは
神様に申し上げること。
神道では「お水による禊(みそぎ)」や「火打ちによる切り火の祓い」など祓い清めが大事にされていますが、極めて重要なのが言霊(ことだま)による祓い清めです。
言霊(ことだま)とは
言葉に宿る神秘的な力や働きを言う。日本では古から「言=事」と考え、「良い言葉は吉事を招き、悪い言葉は凶事を招く」観念がある。
この記事では、神社でよく唱える祝詞や唱える時の古神道の秘技、祝詞の基礎知識などをまとめました。
祝詞を唱えることは願望実現の奥義です。
ご紹介している
- 祓詞(はらえことば)
- 大祓詞(おおはらえことば)
- ひふみ祝詞
- 龍神祝詞(りゅうじんのりと)
- 鳥居之祓(とりいのはらえ)
- 略祓詞(りゃくはらえことば)
- 略拝詞(りゃくはいし)
はPDFでダウンロードできるのでぜひ参考にしてみてください。
神社でよく唱える祝詞一覧
神社でよく唱える祝詞をご紹介します。それぞれの祝詞のダウンロードもできますのでぜひご活用ください。
①祓詞
祓詞とは
祓詞(はらえことば)は心身のお祓いをする祝詞です。
祓詞を唱えると、お祓いを司る神々の御神力により「禍事(まがごと/災い)・罪・穢れ(けがれ)」を祓い清めて頂くことができます。
神様の前にいるにふさわしい清らかな状態になることができるので、神前ではまず祓詞を唱えます。
穢れとは
本来清浄であるべき人の身体や心、魂のエネルギー状態が血や病気、死などの穢れ、日常生活の不満や不安、嫌なこと、他者の想念などによって枯れること。氣が枯れることから神道では「けがれ=氣枯れ」と言う。
お祓いを司る神々は大祓詞(おおはらえことば)にも登場する次の4柱です。祓詞の中では「祓戸の大神等(はらえどのおおかみたち)」と総称されています。
- 瀬織津比売(せおりつひめ)
- 速開都比売(はやあきつひめ)
- 気吹戸主(いぶきどぬし)
- 速佐須良比売(はやさすらひめ)
この4柱は伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)が黄泉の国から戻り、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊を行った際に生まれた神様です。
祓詞の意訳
祓詞の意訳はこちらです。
<意訳>口に出してお名前を申し上げるのも恐れ多い伊邪那岐大神が、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊祓いをなされた時にお生まれになった祓戸の大神等よ、様々な災難や罪穢れがあるならば、お祓いくださいお清めくださいと申し上げる事をお聞き届けくださいと恐れ多くも申し上げます。
祓詞のダウンロード
祓詞のダウンロードはこちらからできます。短い祝詞なのでいつでも唱えられるように覚えてしまうのがおすすめです。
②大祓詞
大祓詞とは
大祓詞(おおはらえことば)は全ての罪咎穢れ(つみとがけがれ)を祓う祝詞です。
大祓詞を唱えると場や環境など外からの影響をきれいにできるので、外の世界からもっと幸福を招き入れることができます。
古来より願望が実現すると信じられ、神前で1,000回読み上げて罪を祓い清める千度祓や、10,000回読み上げる万度祓も盛んに行われてきました。
大祓詞の大には「大きく」の他に「公(おおやけ)」という意味も含まれています。「宇宙の全て(万物)を祓う祝詞」なので、現在でも毎日大祓詞を奏上する神社が多くあります。
もっと詳しく
大祓詞は天皇に仕えていた祭祀氏族 中臣氏(なかとみうじ)の祖先が神様のお告げを聞き、それを大和言葉で述べた言葉を残したものと伝わるが、中臣氏の御祖神 天児屋命(あめのこやねのみこと)やその御神孫 天種子命(あめのたねこのみこと)が残したという説もある。祝詞を奏上するのが中臣氏の仕事だったので中臣祓(なかとみのはらえ)や中臣祭文(なかとみさいもん)とも呼ばれる。
平安時代より朝廷では毎年6月末日と12月末日の年2回、日本だけでなく、世界、そして宇宙全ての罪穢れを祓うために大祓の神事の際に唱えられていたが、鎌倉時代以降は6月だけが残り水無月祓(みなづきのはらい)と呼ばれるようになる。延喜式には六月晦大祓(みなづきつごもりのおおはらへ)と記載されていて、現在使用されている大祓詞は六月晦大祓の祝詞が原型。
大祓詞は当初大祓の神事の参列者に宣(の)り聞かせるものだったが、中臣祓と呼ばれてからは神前で奏上する形式になる。陰陽道や密教が浸透すると、陰陽道の呪言や仏教の経典のように大祓詞も唱えるだけで功得があると考えられ、より唱えやすくするために要点だけをまとめた最要中臣祓(さいようなかとみのはらえ)や最上中臣祓(さいじょうなかとみのはらえ)が作られている。
大祓詞の意訳
大祓詞の意訳はこちらです。
<意訳>高天原(天上の神々の世界/天上界)にいらっしゃる皇祖の神々のお言葉によって八百万の神々が一同に集まり、何度も何度も議論が重ねられ、「豊葦原乃瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに/日本国)を平和で穏やかな国として統治しなさい」と皇孫 瓊瓊杵命(ににぎのみこと)にお委ねになった。
お委ねになった豊葦原乃水穂之国の中には「この国は天孫が治めるべき」という皇祖の神々の意向に従わない神達がいたので、まずは服従するかを問い、従わずに猛威を振るう神達は討伐し、その地から追い払い、ものを言う岩石、木の株、草のひとひらの葉に至るまで鎮まらせ、瓊瓊杵命は天上の玉座を出発し、天にかかる何重にも重なる雲を激しく千切るようにかき分け押し分け、高天原から地上へと降臨した。
皇祖の神々に託された世界の中央に位置する「倭の国」を平和な国と定め、下津磐根(深い地下にある岩盤)の上に宮殿の中心となる太い柱を立て、また高天原に届くかのように高く千木(神社建築に見られる屋根に付いている部材)を立て、美しく立派な御殿を営み奉り、皇御孫之命は天を覆う陰、日光を覆う陰となる宮殿にお住まいになった。
平和に統治するこの国には日々生まれて増えていく人々があやまって犯す様々な罪が出てくるであろう。もし罪が出たならば、高天原の天照大御神が行われる天上の神々(天津神)の儀式(天津宮事)にならい、金木(祓物、撫物として使う堅い木)の本と末(上と下)を切り、まんなかあたりを取って、千座ある金木で作った台に祓つ物、贖物を置いて、菅(スゲ)の本と末(上と下)を切り、まんなかあたりを取って八つに取り割き、天上の神々が授けた極めて効力の高い神聖な祝詞を唱えなさい。
神聖な祝詞を唱えたならば、天上界の神々は高天原の磐門を押し開き、天にかかる何重にも重なる雲を激しく千切るようにかき分け押し分けてその祝詞をお聞きになるだろう。地上の神々(国津神)は高い山や低い山の頂にお上がりになり、高い山や低い山に立ちのぼる雲や霧をかき分けてお聞きくださるだろう。お聞きになったならば罪という罪は一切残らず全て消えるだろう。
まさにそれは科戸の風(風が吹くところ)が天にかかる何重にも重なる雲を吹き払うように、朝夕に立ちこめる霧を風が吹き払うように、大きな船の船首と船尾の縄を解き放ち大海原に押し放たれるように、見渡す限り繁った木の根元を焼き入れをしたよく切れる鎌でことごとく切り払うように、残る罪は一切なく消え去るように祓い清めてくださることを、高い山、低い山の頂より勢いよく落ち流れ、速い川の瀬にいらっしゃる瀬織津比売という神が大海原に流し送ってくださる。
大海原に流し送ったならば、誰も近づけないほど荒い潮の大海原の沖の多くの潮流が渦巻く海にいらっしゃる速開都比売という神が呑み込んでくださる。海深くに呑み込んだならば、海底にある根の国底の国(黄泉の国)に通じる門(気吹戸)にいらっしゃる気吹戸主という神が根の国底の国に気吹(吐いた息によって生じる風)によって吹き放ってくださる。根の国底の国に吹き放ったならば、根の国底の国にいらっしゃる速佐須良比売という神が持ちさすらって失くしてくださる。
きれいさっぱり失くなったならば、今日から後は一切の罪が無くなるだろうと、お祓いくださいお清めくださいと申し上げる事を、天上界の神々、地上界の神々、八百万の神々にお聞きくださいと恐れ多くも申し上げます。
参考 神道行法の本
大祓詞のダウンロード
大祓詞のダウンロードはこちらからできます。
大祓詞の全文の意味と要点をまとめた現代語訳はこちら↓で詳しくお伝えしています。
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【保存版】大祓詞の全文の意味と現代語訳を解説|PDFダウンロードもあり
神道の祝詞の1つである大祓詞(おおはらえことば)には様々な解釈がありますが、明治時代の古神道家 川面凡兒(かわつらぼんじ ...
③ひふみ祝詞
ひふみ祝詞とは
ひふみ祝詞は古代から奏上されてきた「言霊の力が宿る祝詞」です。
厄災が幸福に転換されることから除災招福のご利益があるほか、鎮魂法(ちんこんほう)でも使われてきました。
鎮魂法とは
古神道で重要とされている行法の1つ。神の御魂を招いて自らの魂を広大にさせる「おおみたまふり」と、自分の魂が離れ散るのを招き返して結び止める「みたましずめ」の2つの意義がある。
ひふみ祝詞の意訳
ひふみ祝詞の起源は天照大御神が天岩戸に身を隠した時、天宇受賣命(あめのうずめのみこと)が神舞を舞ってこの神歌を詠ったのが起源であると伝わります。
しかし、ひふみ祝詞は日本語の清音47音をそれぞれ1回だけ使って作られたアナグラムになっているので様々な捉え方ができます。
アナグラムとは
文字の位置を入れ替えて別の意味を持つ語句を作ること。いろは歌もアナグラムで作られている。
例えばひふみ祝詞を日本語ではなくヘブル語(ヘブライ語)で考えた場合、イスラエルの失われた10支族と日本の関係を研究していたヨセフ・アイデルバーグさんの著書「日本書紀と日本語のユダヤ起源」によると、
「ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう、なな、やあ、ここの、とうぉ」をヘブル文字(ヘブライ文字)を使って書くと次のようになり、
היפה מי יוציאה מה נענה יקחנה תבוא
*ヘブル文字は右から左に書く
これは次のように発音し、
Hifa mi yotzia ma naane ykakhena tavo
ハイアファ ミ ヨツィア マ ナーネ ヤカヘナ タヴォ
意味は「誰がその美しい方(女神)を出すのでしょう。彼女に出て頂くために、いかなる言葉をかけたらいいのでしょう。」になると書かれています。
これは天照大御神(あまてらすおおみかみ)を天岩戸から出そうと天児屋命(あめのこやねのみこと)が祝福の祝詞を奏上し、天宇受賣命が舞踊を踊った場面にピッタリ当てはまります。
ヨセフ・アイデルバーグとは
ウクライナ南部のオデッサに生まれたユダヤ人。1925年、イスラエル(当時パレスチナ)に両親と共に移住。ヘブル語・英語・フランス語・ドイツ語・ペルシア語・イェディッシュ語・アラビア語など7か国語を話す。イスラエル建国前は地下組織「ハガナ」のメンバーで、建国後はイスラエル国防軍の陸軍少佐を務めた。その後イスラエルの失われた10支族の研究に入る。京都の護王神社の見習い神官にもなり、神道や日本語、日本の歴史を研究した。
また、日ユ同祖論(日本・ユダヤ同祖論)を説いたノーマン・マクレオドさんと久保有政さんの著書「日本固有文明の謎はユダヤで解ける」では、
「ハイアファ ミ ヨツィア マ ナーネ ヤカヘナ タヴォ」の部分は「たが、そのうるわしめを出すのやら。いざないに、いかなる言葉をかけるやら。」という美しい詩文にもなると書かれています。
それぞれの意味は次の通りです。
- ハイアファ…その美しい方
- ミ…誰が
- ヨツィア…彼女を出すだろう
- マ…何と
- ナーネ…答える
- ヤカヘナ…誘って連れ出す
- タヴォ…彼女が来る
日本語としてそのまま考えた場合は冒頭の「ひふみよいむなやこと(一二三四五六七八九十)」は古来の数字の読み方で「数霊の力」を意味し、同時に数霊は神秘とされる十種神宝(とくさのかむたから)を表します。
十種神宝とは饒速日命(にぎはやひのみこと)が天降りする際、天神御祖(あまつかみみおや)から授けられた次の十種類の宝のことです。
- 灜津鏡(おきつかがみ)…神羅万象を映す鏡でその栄をもたらす
- 邊津鏡(へつかがみ)…神羅万象を映す鏡でその栄をもたらす
- 八握剱(やつかのつるぎ)…如何なる邪悪な物も撃滅する剣
- 生玉(いくだま)…生々たる霊徳(れいとく/すぐれた徳)のある玉
- 足玉(たるだま)…足り満つる霊徳の玉で形態を作り上げる力を持つ
- 死反玉(まかるがへしのたま)…死を反して活かす霊徳のある玉で死者をも蘇らせる力を持つ
- 道反玉(ちがへしのたま)…非道悪習に流れようとする心を止めて正道善風に立ち復らしめる霊徳のある玉
- 蛇比禮(おろちのひれ/へびのひれ)…毒蛇除けの比礼(ひれ/古代の女性が首にかけていた布)で蛇が自ずから静まる力を持ち、その害を受けた時はそれを癒す力も持つ
- 蜂比禮(はちのひれ)…悪虫除けの比礼で悪虫が自ずから静まる力を持ち、その害を受けた時はそれを癒す力も持つ
- 品々物比禮/品物比禮(くさぐさのもののひれ)…悪鳥や悪獣のみならずすべての妖を祓い、あらゆる邪を退ける力を持つ
神代文字の阿比留草(あひるくさ)文字で考えた時の意訳はこちらです。
一二三四五六七八九十百千万億兆と麻を蒔きなさい。そうすれば神様と結ばれてきます。生命力が強い大麻をたくさん育てれば、交わる罪穢れが遠くにさり、天から与えられた田畑を汗水垂らして一生懸命に耕すことができます。
一般的な他の意訳としては次のような意訳もあります。
全ての生物、森羅万象は恩顧(おんこ/万物の恵みを受けとること)により生を受ける(身を捧げる)ものです。日々の生活は日の神、月の神の慈しみによること至大です。日の神、月の神は人々の苦悩を去らしめ、悪神がとりつくことから守ってくださいます。田畑で育つ穀物は豊かに実り、海の魚は豊富に獲得できます。全ての人が喜びと共に働いて日々を生き、飢え渇くことはありません。朝に出て日を背に汗し、夕に帰る喜びに感謝し、日の神、月の神の出現を祈り拝せよ。
このように、宇宙の成り立ち(心理)やエネルギーの性質など、根本的なこの世界を表しているとも言われるひふみ祝詞は様々な捉え方ができます。
しかし、言霊である47文字から形成された「いろは歌」が様々な意味を持つように、気づく人は見ればわかるように狙って作られていると言えます。
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ひふみ祝詞は対馬国(現九州一帯とその周辺の島々)を支配していた阿比留氏(あびるし)が代々伝承してきた祝詞であるという説もある。現代では奈良県の石上神宮や熊本県の幣立神宮がひふみ祝詞を奏上する神社として知られていて、幣立神宮には神代文字の1つ阿比留草(あひるくさ)文字でひふみ祝詞が刻まれた鑑石(かがみせき)が奉安されている。
文献上では大和国を本拠地とした豪族 物部氏(もののべし)の史書「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」の第3巻天神本紀に「もし痛むところあらば、この十宝をして、一二三四五六七八九十と言いて布瑠部(ふるべ)ゆらゆらと布瑠部。かく為(な)せば、死(まか)れる人は返りて生きなむ。(亡くなられた人をも蘇らす)」と詔(みことのり)をしたことが記されている。
先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)とは、天地に神が生まれた時から第33代推古天皇までの歴史が記述されている古書。大同年間(806~810年)~平安時代初期以前(~904年)に成立したとされる。この先代旧事本紀(「ひふみ」十音)を取り入れた神道家や神道流派はひふみ祝詞を重要としていたが、江戸初期に幕府の御用学者たちにより先代旧事本紀は偽書の恪印を押され、神道の主流から外された。明治維新時代より日本の歴史を伝える記紀を基に国家神道の整備が始まったことでひふみ祝詞は滅多に世に出ることはなくなった。
ちなみに、第65代花山天皇の子孫である白川家が受け継いだ神道「伯家神道(はっけしんとう)」が採用していたのがひふみ祝詞だった。伯家神道は神道の中心的存在の宮中に伝わる古来の祭式儀礼を長く維持し継承してきた名流で、ひふみ祝詞は斎主(さいしゅ/神事を執り行う最高位の神官)が神前で奏上する神聖なものとされていた。
一般には出回ることがなかったひふみ祝詞だが、岡本天明(おかもとてんめい)が神からの啓示を受けて作った「日月神示(ひつきしんじ/ひつくしんじ)」という書物にひふみ祝詞が記され、世に出回ったことで多くの人が唱えるようになった。岡本天明とは、偽書とされた古文献の復権と再評価を目的としていた神道家、神典研究家、画家。昭和19年「ひつくの神」から神示を授かり日月神示という神霊予言書を記した。
参考 古神道の本
ひふみ祝詞のダウンロード
ひふみ祝詞のダウンロードはこちらからできます。
ひふみ祝詞の正式な唱え方は3・5・7と区切って読む形で、音の響きを意識すると良いと言われています。
ちなみに、ひふみ祝詞のおすすめの唱え方は船井総合研究所の創業者である船井幸雄(舩井幸雄)さんの著書「素晴らしき真言」で紹介されている唱え方です。
ひふみ祝詞を3回唱え、最後に「布留部 由良由良止 布留部(ふるべ ゆらゆらと ふるべ)」を付け加える唱え方になります。
言語学の研究家の七沢賢治さんは、言霊学の第一人者で、言霊や真言にすごく詳しい人です。彼はこの「ひふみのりと」のさいごの方に「布留部、由良由良止、布留部」を付言し、3度以上つづけて唱えると、「よい思いは叶うようだ」と言っているように思います。ちなみに、それは、上記のようになります。これが事実であることは私も、多くの友人も実験して確かめております。引用「素晴らしき真言」
こちらのPDFもダウンロードできます。1日3回くらい唱えると良いと言われているのでぜひ唱えてみてください。
→「おすすめのひふみ祝詞の唱え方」のPDFをダウンロードする
④龍神祝詞
龍神祝詞とは
龍神祝詞(りゅうじんのりと)は龍神とご縁を結び、願望を実現するための古神道の祝詞です。龍神系の神社へ参拝した際、神前で唱えるのがおすすめです。
龍神祝詞の起源は不明ですが、日本には雨乞い祈願をして龍神の御神威を授かった龍神信仰の伝説が多々あり、龍神を御祭神として祀っている神社も数多くあります。農耕民族である日本人は稲作に必要な水をもたらすために、古来より龍神祝詞を奏上していたと考えられます。
現代でも滋賀県の竹生島神社や神奈川県の龍口明神社では龍神祝詞が奏上されています。
龍神祝詞の意訳
龍神祝詞の意訳はこちらです。
<意訳>高天原に鎮座し天と地にお姿を現す龍王は、宇宙の創造主のお使いであり、あらゆるものを産んで育て、万物を支配する王なので、十種の御寶(饒速日命(にぎはやひのみこと)が天降りする際に、天神御祖(あまつかみみおや)から授けられた宝)に姿を変え、自由自在に天上界、地上の世界、人間界を治める龍王神を敬い、六根(眼、耳、鼻、舌、身、意の6つの感官能力)すべて一筋にお仕え致します。愚かな心を戒め、生きとし生けるものの罪穢れ、あらゆるものの病や災いを祓い清め、萬世界をお治めくださいますようお願い申し上げます。六根で思う大きな願いが成就するよう恐れ多くも申し上げます。
龍神祝詞のダウンロード
龍神祝詞のダウンロードはこちらからできます。
⑤鳥居之祓
鳥居之祓とは
神社の鳥居は神様がご鎮座するご神域の一種の門であり、神界の聖域と人間界とを区切る境界線(結界)を示したものです。ご神域には人の穢れや邪を持ち込んではいけません。
鳥居で一礼をするのは認知されていますが、鳥居之祓(とりいのはらえ)という古来より伝わる祝詞があります。「これから清浄なご神域に入らせて頂きます」という気持ちで一礼して唱えましょう。
一の鳥居・二の鳥居・三の鳥居と複数の鳥居がある場合は一の鳥居で鳥居之祓を唱えれば大丈夫です。二の鳥居や三の鳥居から入る時はその時に唱えましょう。
もっと詳しく
鳥居は山などの自然物を御神体、もしくは依代(よりしろ)として祀る神社の前に立てられ神様の存在を現すものとして重視されている。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩屋に隠れた際、高天原の神々が鶏(長鳴鳥/ながなきどり)を木に止まらせて鳴かせ、神々の協力により天照大御神が姿を現した以降、神前に鶏の止まり木を作ったのが鳥居になった由来だと伝わる。
しかし、鳥居の語源は「通り入る」「鶏居(とりい)」という言葉が変化したものと言われ起源は諸説あり、外国からの渡来説なども存在する。
鳥居之祓の意訳
鳥居之祓の意訳はこちらです。
<意訳>神様がいらっしゃる聖域と人間界を隔てる鳥居にたたずめば、この世界に生きている身は日月の宮のように安らかな心です。
鳥居之祓のダウンロード
鳥居之祓のダウンロードはこちらからできます。
神社祭祀などの特権的家筋の方々、あるいは森の外より遥拝する時はこちらを唱えてください。
⑥略祓詞
略祓詞とは
略祓詞(りゃくはらえことば)は祓詞を短くした祝詞です。
時間に余裕がない時は祓詞の代わりに略祓詞を唱え、お祓いを司る神々に心身を祓い清めて頂きましょう。
なお、略祓詞は手水で身を清めている時にも唱えます。
略祓詞の意訳
略祓詞の意訳はこちらです。
<意訳>お祓いください。お清めください。
略祓詞のダウンロード
略祓詞のダウンロードはこちらからできます。
⑦略拝詞
略拝詞とは
略拝詞(りゃくはいし)は神前で唱える祝詞です。
大祓詞や龍神祝詞などは唱えるのに時間がかかります。時間がない時は略拝詞を唱えましょう。
略拝詞の意訳
略拝詞の意訳はこちらです。
<意訳>お祓いください。お清めください。神様のお力によりお守りください。幸せを与えてください。
略拝詞のダウンロード
略拝詞のダウンロードはこちらからできます。
祝詞を唱える時の古神道の秘技
祝詞は言葉に言霊が宿っていることを認識し、一言一句正確に読み上げます。抑揚をつけずゆっくりと読むのがポイントです。
抑揚とは
文章の調子を上げたり下げたり、また強めたり弱めたりすること。イントネーション。
唱え方の参考にして頂きたいのは神職の最高階位である明階を取得し、春日大社の宮司にも就任した葉室頼昭さんの著書「大祓 知恵のことば」に付いているCDの大祓の唱え方です。
この本が発売された時、素人からすると「なんで神社の神官と違って抑揚がないのか」、玄人からすると「なんで極意を言ったんだ」と双方から非難を浴びましたが、これが古神道の秘技です。
これ以上に参考になる祝詞の唱え方はないと言えますのでぜひ手にすることをおすすめします。
祝詞を唱える時の作法
神社や自宅で祝詞を唱える時の作法は次の流れが一般的です。
- 二拝
- 祝詞奏上
- 二拝二拍手一拝
*「二拝二拍手→祝詞奏上→二拍手二拝」など神社や神道の流派で異なる場合もあり
例えば大祓詞を唱える場合、「二拝→祓詞→二拝二拍手一拝→二拝→大祓詞→二拝二拍手一拝」の流れで唱えます。(祓詞は心身のお祓いをする祝詞なので他の祝詞よりも先に唱える)
なお、神社で祝詞を唱える時は他の方のご迷惑にならないよう端によって唱えましょう。
「目の前で唱えないと意味がない」などはありませんので大丈夫です。むしろ神様は他の人のことを優先的に考えているあなたのことを応援してくれます。
祝詞とは
祝詞(のりと)は神道の儀式の時に神前で唱える言葉です。(「しゅくし・のっと」とも呼ばれる)
元々は神様の言葉そのもの(命ずるもの)を示す言葉でしたが、時代の変化と共に神様に奏上(そうじょう)する形になりました。
奏上(そうじょう)とは
神様や天皇など位の高い存在へ言葉を申し上げること。
昔は神様のお告げを天皇が祝詞として述べていたので、天皇は天津神の命を受ける「御言持ち(みこともち)」と呼ばれていました。
祝詞(お告げ)を唱えると権威や霊力が宿ると同時に、そこに宿る言霊が神聖な時空を創り、そして神話世界を再現するものと言われています。
古くから人々に宣り下される神様の言葉(祝詞)の語源は「のりとごと=宣ノ言・宣処言・宣呪言」と言われ、その昔は口伝で伝わり秘密事とされていました。
時代が変わると神社の祭礼やご祈祷の時に神職が奏上するのが一般な形になり、神様に感謝をして発展と繁栄を祈願するものとなります。
祝詞が一般にも広がったことで神社の参拝時や自宅で奏上する方が多くいます。
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祝詞という漢字があてられたのは中国の用字「祝文」の文を詞に変えられたもので、祝文は巫祝(ふしゅく/巫女的存在が神意などを人々に伝える役割の者)が神様に対して申し上げた言葉を意味する。用語としては祝詞で統一されるが次のような表記もされている。
・ひふみ邊「古事記」上巻…詔戸言(のりとごと)
・ひふみ邊「日本書紀」神代上…諄辞(のりと)
・ひふみ邊延喜式(えんぎしき)…詔刀(のりと)
・ひふみ邊中臣寿詞(なかとみのよごと)…詔刀言(のりとごと)
・ひふみ邊皇大神宮儀式帳…告刀(のりと)
・ひふみ邊令集解(りょうのしゅうげ)…法刀言(のりとごと)
祝詞に宿る言霊
古来より言葉には神秘的、霊的な力が宿ると言われ、「言葉を口にすることで霊力が発揮される」言霊(ことだま)信仰がありました。
日本最古の和歌集を代表する万葉集でも、日本国の事を「言霊の幸(さきは)ふ国=言葉の霊力で幸せをもたらす国」「言霊の助くる国=言葉の霊力が働き助ける国」と語り継がれています。
言霊信仰には「良い言葉は吉事を招き、悪い言葉は凶事を招く」考え方があり、「雨よ降れ」と言えば実際に雨が降っていました。
祝詞を唱える場合は一字一句正確な言い方を用いて間違いがないよう神様に申し上げます。これを「言挙げ(ことあげ)する」と言います。
良いことも悪いことも実際に起きてしまうので古代人は慎重に言挙げをし、そして言葉に願いを込めて祝詞を唱えることでご加護を授かっていたと考えられます。
現在でも結婚式では別れるや切れる、受験生がいるお家では落ちるや滑るなどの言葉は使わないように気を遣う習わしが残っています。
祝詞の起源
祝詞の起源は記紀で伝わる天岩戸(あまのいわと)神話で天児屋命(あめのこやねのみこと)が祝福の祝詞を奏上したのが始まりです。
太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に身を隠した際、天照大御神の気を引こうとした天児屋命は布刀詔戸言(ふとのりとごと)を奏上しました。
高天原の神々の協力もあったことで天照大御神は再び姿を現し、太陽の光が戻り平和な世界に戻りました。これが天岩戸神話の一部になります。
祝詞は神様の言葉、神様に通じる言葉、神様を賛美する言葉で構成されていますが、延喜式(えんぎしき)という古代法典の8巻に記載されているのが現存する最古の祝詞集になります。(延喜式8巻には朝廷の祭事に関わる27編の祝詞が記載)
延喜式(えんぎしき)とは
905年(延喜5年)に第60代醍醐天皇(だいごてんのう)の命により藤原時平(ふじわらのときひら)らが集成した古代法典。全50巻、約3300条からなる法典の第8巻に祝詞が掲載。延喜式は弘仁式(こうにんしき)や貞観式(じょうがんしき)を含めた三代格式の1つで927年(延長5年)に完成。三代格式の内、ほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけ。
延喜式8巻の27編の祝詞は延喜式祝詞と呼ばれるが、現代の延喜式祝詞は明治維新(1868年頃)から終戦時(~1945年)にかけて宮内庁や内務省が制定した祝詞例文や戦後に神社本庁が提示した祝詞例文を基に現代的表現を取り入れて作成されたものに変わっている。
祝詞の形式
基本的に祝詞は奏上体と宣命体の2つの形式があります。
奏上体は神様に対して「恐み恐みも白(まを)す」のように「〜白す(申し上げます)」で終わる形式のことで、現代の祝詞の大半は奏上体になります。
宣命体は祭祀などの時に神様の言葉を人々に宣り聞かせるものや、神主さんが私たちの代わりに神様に奏上するもので、文末が「〜宜(の)る」や「宜(の)り給(たま)う」で終わる形式です。
なお、祝詞は奏上体や宣命体という形式とは別に、次のようにも分類されています。
- 祝詞(のりと)…神饌(しんせん)を備えて神様を奉る場合に奏上する言葉
- 拝詞(はいし)…祭典を行わず単に神様を拝む時に奏上する言葉
- 遙拝詞(ようはいし)…拝詞の中でも遥拝する時(遠くから拝む時)に用いる言葉
- 祓詞(はらえことば)…祓いを司る神様に奏上する言葉
- 祭詞(さいし)…例祭や大祭などの祭典時に神様に奏上する言葉
- 御告文(おつげぶみ/こくぶん)…天皇が神々をご親祭(天皇自ら神様をまつる儀式)する時に奏上する言葉
- 御祭文(ごさいもん)…天皇や朝廷が出す使者が神様に奏上する言葉
- 策命文(さくみょうぶん)…山陵(さんりょう/天皇・皇后のお墓)や御墓(みはか/皇太子・皇族のお墓)において行われる祭事で奏上する言葉
まとめ
祝詞には言葉に宿る神秘的な力や働きがあり、唱えるだけで現実さえも変える力があります。
朝起きた時や神社に訪れた時など運命が好転するタイミングは特に、祝詞を唱えて運氣を高めましょう。