龍神祝詞(りゅうじんのりと)は龍神とご縁を結び、願望を実現するための古神道の祝詞です。
龍神系の神社へ参拝した際、神前で唱えるのがおすすめです。
この記事では、龍神祝詞の意味や唱え方についてまとめました。
龍神祝詞のPDFもダウンロードできますので、ぜひ参考にしてみてください。
龍神祝詞の全文の意味
龍神祝詞の意味を見ていきましょう。
高天原(たかあまはら)に坐(ま)し坐(ま)して
「高天原に鎮座し」
天(てん)と地(ち)に御働(みはたら)きを現(あらわ)し給(たま)う龍王(りゅうおう)は
「天と地にお姿を現す龍王は」
大宇宙根元(だいうちゅうこんげん)の御祖(みおや)の神(かみ)にして一切(いっさい)を産(う)み一切(いっさい)を育(そだ)て
「宇宙の創造主のお使いであり、あらゆるものを産み、あらゆるものを育て」
萬物(よろづのもの)を御支配(ごしはい)あらせ給(たま)う王神(おうじん)なれば
「万物を支配する王なので」
一二三四五六七八九十(ひふみよいむなやこと)の十種(とくさ)の御寶(みたから)を己(おの)がすがたと變(へん)じ給(たま)いて
「十種の御寶に姿を変え」
十種の御寶は饒速日命(にぎはやひのみこと)が天降りする際、天神御祖(あまつかみみおや)から授けられた次の十種類の宝のこと。
灜津鏡(おきつかがみ) | 神羅万象を映す鏡でその栄をもたらす |
邊津鏡(へつかがみ) | 神羅万象を映す鏡でその栄をもたらす |
八握剱(やつかのつるぎ) | 如何なる邪悪な物も撃滅する剣 |
生玉(いくだま) | 生々たる霊徳(れいとく/すぐれた徳)のある玉 |
足玉(たるだま) | 足り満つる霊徳の玉で形態を作り上げる力を持つ |
死反玉(まかるがへしのたま) | 死を反して活かす霊徳のある玉で死者をも蘇らせる力を持つ |
道反玉(ちがへしのたま) | 非道悪習に流れようとする心を止めて正道善風に立ち復らしめる霊徳のある玉 |
蛇比禮(おろちのひれ/へびのひれ) | 毒蛇除けの比礼(ひれ/古代の女性が首にかけていた布)で蛇が自ずから静まる力を持ち、その害を受けた時はそれを癒す力も持つ |
蜂比禮(はちのひれ) | 悪虫除けの比礼で悪虫が自ずから静まる力を持ち、その害を受けた時はそれを癒す力も持つ |
品々物比禮/品物比禮(くさぐさのもののひれ) | 悪鳥や悪獣のみならずすべての妖を祓い、あらゆる邪を退ける力を持つ |
自在自由(じざいじゆう)に天界地界人界(てんかいちかいじんかい)を治(おさ)め給(たま)う 龍王神(りゅうおうじん)なるを尊(とうと)み敬(うやま)いて
「自由自在に天上界、地上の世界、人間界を治める龍王神を敬い」
眞(まこと)の六根一筋(むねひとすじ)に御仕(みつか)え申(もう)すことの由(よし)を受引(うけひ)き給(たま)いて
「六根(眼、耳、鼻、舌、身、意の6つの感官能力)すべて一筋にお仕え致します」
愚(おろ)かなる心(こころ)の数々(かずかず)を戒(いまし)め給(たま)いて
「愚かな心を戒め」
一切衆生(いっさいしゅじょう)の罪穢(つみけが)れの衣(ころも)を脱(ぬ)ぎ去(さ)らしめ給(たま)いて
「生きとし生けるものの罪穢れを祓い清め」
萬物(よろづのもの)の病災(やまい)をも立所(たちどころ)に祓(はら)い清(きよ)め給(たま)い
「あらゆるものの病や災いを祓い清め」
萬世界(よろずせかい)も御祖(みおや)のもとに治(おさ)めせしめ給(たま)へと祈願奉(こひねがいたてまつ)ることの由(よし)をきこしめして
「萬世界をお治めくださいますようお願い申し上げます」
六根(むね)の内(うち)に念(ねん)じ申(もお)す大願(だいがん)を成就(じょうじゅう)なさしめ給(たま)へと
「六根で思う大きな願いが成就するよう」
恐(かしこ)み恐(かしこ)み白(もお)す
「恐れ多くも申し上げます」
龍神祝詞の現代語訳
先にお伝えした内容をまとめた龍神祝詞の意訳です。
高天原に鎮座し、天と地にお姿を現す龍王は、宇宙の創造主のお使いであり、あらゆるものを産んで育て、万物を支配する王です。
十種の御寶に姿を変え、自由自在に天上界、地上の世界、人間界を治める龍王神を敬い、六根(眼、耳、鼻、舌、身、意の6つの感官能力)すべて一筋にお仕え致します。
愚かな心を戒め、生きとし生けるものの罪穢れ、あらゆるものの病や災いを祓い清め、萬世界をお治めくださいますようお願い申し上げます。
六根で思う大きな願いが成就するよう恐れ多くも申し上げます。
龍神祝詞のダウンロード
龍神祝詞のPDFはこちらからダウンロードできます。
龍神祝詞の唱え方
龍神祝詞を神社で唱える時は次のように参拝するのがおすすめです。
龍神のご利益を最大限に引き寄せることができます。
- 二拝して自分の生年月日と名前、住所を言う
- 祓詞(はらえことば)を2回唱える
- 龍神祝詞(りゅうじんのりと)を1回唱える
- 二拝二拍手一拝
1つずつ詳しく見ていきましょう。
なお、祝詞の奏上は時間がかかるので、他の方のご迷惑にならないよう端によって唱えるようにしてください。「目の前で唱えないと意味がない」などはありませんので、端によって唱える形で大丈夫です。
①二拝して自分の生年月日と名前、住所を言う
まずはお賽銭を入れて二拝してから「私は1980年1月1日生まれの山田太郎です。東京都江戸川区〇〇1-1-1に住んでいます。」と自己紹介します。
初めて人と会った時も自己紹介するように、神様にもきちんと自己紹介することが大切です。声に出して言っても良いですし、心の中で言っても大丈夫です。
神社のお賽銭は100円玉がおすすめです。
②祓詞(はらえことば)を2回唱える
祓詞を2回唱えます。
祓詞を唱えると、祓戸の神々の御神力により様々な災難や罪穢れを祓うことができ、神様の前にいるにふさわしい清らかな状態になることができます。
こちらも声に出しても良いですし、心の中で唱えても大丈夫ですが、抑揚をつけずゆっくりと読むのがポイントです。
<意訳>口に出してお名前を申し上げるのも恐れ多い伊邪那岐大神が、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊祓いをなされた時にお生まれになった祓戸の大神等よ、様々な災難や罪穢れがあるならば、お祓いくださいお清めくださいと申し上げる事をお聞き届けくださいと恐れ多くも申し上げます。
③龍神祝詞(りゅうじんのりと)を1回唱える
龍神祝詞を1回唱えます。
こちらも声に出さず、心の中で唱える形で大丈夫です。ポイントは祓詞と同様、抑揚をつけずゆっくりと読むことです。
④二拝二拍手一拝
二拝二拍手の後、神恩感謝と3回声に出して唱えるか、心の中で唱えます。神恩感謝は神様の生成発展を願うお祈りです。その後、一拝します。
これで参拝は完了です。
龍神祝詞の起源
龍神祝詞の起源は不明ですが、日本には雨乞い祈願をして龍神の御神威を授かった龍神信仰の伝説が多々あり、龍神を御祭神として祀っている神社も数多くあります。
農耕民族である日本人は稲作に必要な水をもたらすために、古来より龍神祝詞を奏上していたと考えられます。
現代でも滋賀県の竹生島神社や神奈川県の龍口明神社では龍神祝詞が奏上されています。
まとめ
龍神祝詞は龍神様とご縁を結び、願い事を成就させたい方におすすめの祝詞です。龍神系の神社へ行った時はぜひ唱えてみてください。