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【保存版】千手観音は観音の王!真言・ご利益・役割を詳しく解説

2021年8月22日

三十三間堂の記念誌「無畏」

千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)は慈悲と智慧の力で誰にでも救いの手を差し伸べてくれる観音様です。

お金や健康、人間関係など、人が悩む問題は全て解決してくれます。

この記事では、千手観音の真言やご利益、役割などについてまとめました。

ぜひ参考にしてみてください。

千手観音の真言

千手観音の真言はこちらです。

サンスクリット語日本語
オーン ヴァジュラ ダルマ フリーヒ
oṃ vajra-dharma hrīḥ
おん ばざら たらま きりく

千手観音のご利益

千手観音は諸願成就・産生平穏を司り、何事にも自由自在に手を差し伸べて福徳を与えてくれる存在です。

主なご利益はこちらです。

  • 厄災厄除
  • 苦難除去
  • 病魔退散
  • 悪疫守護
  • 諸願成就
  • 平穏無事
  • 頭痛平癒
  • 病気(難病)平癒
  • 奇病快癒

尊名の由来

千手観音のサンスクリット語の名称(梵名/ぼんめい)は「サハスラブジャ・アーリヤ・アヴァローキテーシュヴァラ(sahasrabhuja ārya avalokiteśvara)」でそれぞれ次の意味があります。

  • サハスラブジャ…千の手・千の手を持つもの
  • アーリヤ…聖なる
  • アヴァローキテーシュヴァラ…観自在菩薩・観世音菩薩

サハスラブジャはヒンドゥー教のヴィシュヌ神、シヴァ神、女神ドゥルガーなどの神々の異名。

千手観音は正式には「十一面千手千眼観自在菩薩(じゅういちめんせんじゅせんげんかんじざいぼさつ)」といいますが、次のように数多くの呼び名を持つ観音菩薩としても知られています。

  • 千手千眼観自在菩薩
  • 蓮華王(れんげおう/観音の王を意味する)
  • 大悲観音(だいひかんのん)
  • 千手千臂観音(せんじゅせんぴかんのん)

千手観音の役割

千手観音は六観音の一尊で六道のうち餓鬼道(がきどう)を担当しています。

六道(りくどう/ろくどう)とは仏教の世界観。衆生(しゅじょう)が作った善悪の業(カルマ)の結果として輪廻転生する6つの世界。天道・人間道・阿修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道がある。

衆生とは生命ある全てのもの。人間だけでなく植物、動物など他の生命も含まれる。

六道
目で見る仏教小百科 村越英裕・藤堂憶斗著
目で見る仏教小百科 村越英裕・藤堂憶斗著

四苦八苦(しくはっく)とは、仏教の言葉で人間のあらゆる苦しみのこと。次の4つの苦しみを四苦といい、

①生苦(しょうく)…生まれてくる苦
②老苦(ろうく)…老いの苦
③病苦(びょうく)…病の苦
④死苦(しく)…死の苦

それに加え、次の4つを合わせて八苦という。

⑤愛別離苦(あいべつりく)…愛する者と別れる苦
⑥怨憎会苦(おんぞうえく)…許せない者に会う苦
⑦求不得苦(ぐふとくく)…求める物が得られない苦
⑧五蘊盛苦(ごうんじょうく)…心身が思うがままにならない苦

生まれてくる苦しみ(生苦)は、こういった「苦しみだらけの世界に生まれてくる」ことを考えるとわかりやすい。

千手観音の姿形

千手観音の姿形の主な特徴は3つあります。

42手

一般的な千手観音は42手の姿形が特徴的です。千手観音の持物と意味は次の通りです。

持物(じもつ)とは仏像が手に持っている物のこと。

持物意味
1錫杖(しゃくじょう)発菩是心(よい願いを起こす)
2宝鏡(ほうきょう)智慧開眼(智慧を開く)
3月輪(がちりん)熱毒消除(毒や熱病を除く)
4経箱(きょうばこ)後生安隠(冥福を得る)
5宝珠(ほうじゅ)富貴栄達(財宝を得る)
6化仏(けぶつ)皆徳授記(悟開の証明を得る)
7独鈷(どくこ)怨敵退散(怨敵を退散する)
8経巻(きょうかん)学業成就(学問を得る)
9三鈷(さんこ)降伏大魔(悪魔を降ろす)
10鉄斧(てつふ)諸難削除(災難を避ける)
11宝印(ほういん)得巧弁才(話術が巧みになる)
12青開蓮(しょうかいれん)浄土住生(浄土に生まれる)
13宝箭(ほうき)相逢善友(善い友に逢う)
14蒲桃(ぶどう)五穀豊穣(自然の恵みを得る)
15楊柳(ようりゅう)病気平穏(病気を除く)
16胡瓶(こへい)二者和合(和合を得る)
17紫未開蓮(しみかいれん)得見諸仏(仏に出会う)
18数珠(じゅず)現来諸仏(仏に守られる)
19施無畏(せむい)得離怖畏(不安を離れる)
20宝鉢(ほうはつ)腹病平穏(腹痛を癒す)
21戟鉾(げきほこ)逆賊退散(逆賊に勝つ)
22日輪(にちりん)辟除眼闇(眼病を除く)
23宮殿(きゅうでん)仏在宮殿(仏と共にある)
24化仏(けぶつ)不離仏辺(仏に親しむ)
25輪宝(りんぽう)得不退転(退歩することがない)
26五色雲(ごしきうん)延命長寿(長寿を得る)
27五鈷鈴(ごこれい)得美音声(美しい音色を得る)
28宝螺(ほうら)守護善髪(善神が集まる)
29鉄鉤(てっこう)龍神降伏(悪竜を降ろす)
30紅開蓮(ぐかいれん)生天受福(天に生まれる)
31金環(きんかん)獲得召使(支援者を得る)
32宝剣(ほうけん)邪悪退散(悪霊を除く)
33払子(ほっす)諸災削除(障害を除く)
34髑髏(どくろ)除諸鬼難(悪魔を除く)
35宝弓(ほうきゅう)心願成就(名誉を増す)
36羂索(けんさく)得安隠楽(安隠を得る)
37白未開蓮(びゃくみかいれん)功徳充満(功徳を得る)
38水瓶(すいびょう)値遇善王(善政に遇う)
39盾(たて)除諸獣難(獣の難を避ける)
40合掌(がっしょう)衆人愛敬(人に敬われる)

右手には1〜19の持物、左手には21〜39の持物、20と40は中央の方鉢と合掌を表すのが一般的。まれに左手右手の持物を逆に表す場合もある。

密教曼荼羅
密教曼荼羅

千手観音の42手のうち中央で合掌する手を除くと40手ありますが、その40手と25種の世界を掛けると「40×25=1000(千手)」となります。

この千手はどんな衆生も漏らさず救済しようとする観音様の慈悲と功徳の広大さを表しています。

千手には千の眼があり、その眼は一切を見通す力を持っている。これが千手千眼の名の由来。

25種の世界とは二十五有(にじゅうごう)のことで、三界六道を25種に分類したものです。欲界に14有、色界に7有、無色界に4有の合計25有となっていて、下に行くほど苦しみが大きくなっています。

二十五有
二十五有

欲界は食欲・淫欲・睡眠欲など欲望にとらわれた煩悩の強い生き物が住む世界。地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・鬱単越・閻浮提・瞿耶尼・弗婆提・四王天・三十三天・夜摩天・覩史多天・楽変化天・他化自在天の十四有。地獄(地獄の住人)・餓鬼・畜生(動物)・人(人間)・天(神々のうち欲望から離れていない神々)が住む。欲界に住む天(神々)は悟りを得て仏になっていないため、六道の輪廻から逃れていない。

色界は欲望から離れ、体が残っている天(神々)が住む清浄な物質世界。食欲や淫欲など世間的な欲望はなく、生存欲などわずかな煩悩が存在する。男女の区別がなく光明を食とする。初禅天・大梵天・第二禅天・第三禅天・第四禅天・無想天・五浄居天の七有。欲界と無色界の中間に位置。

欲望も物質的条件も超越した精神的な天(神々)が住む世界。空無辺処天・識無辺処天・無所有処天・悲想非非想天の四有。三界の最上の場所にあるのが悲想非非想天。悟りの手前にある最高天になり、三界の頂点に有ることから有頂天と言う。

二十五有をより詳細に分けたものはこちらです。

二十五有
二十五有
仏と鬼の謎を楽しむ本 グループSKIT著
仏と鬼の謎を楽しむ本 グループSKIT著

千手の千の数字は広大無辺、無量円満を意味します。

また、1,000は10の3乗です。空間を創り出す正六面体(立方体)を表すことから、神仏と繋がり「目的・使命・祈り」を果たすことを守護する意味もあります。

ちなみに、神智学の開祖ブラヴァツキー夫人の著書The Secret Doctrineには「10は人間の知識の数であり、1,000は10の三乗」とあります。

「1,000は10の三乗でできた数字」ということが重要であることがわかります。

The Secret Doctrine (English Edition)
The Secret Doctrine (English Edition)

number ten is that of all human knowledge (Pythagorean decade); 1,000 is the number ten to the third power

The Secret Doctrine (English Edition)

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー(1831年8月12日~1891年5月8日)は神智学協会の設立者の1人。「真理にまさる宗教はない」が協会のスローガン。

ヒマラヤの奥に住むマスター(マハートマー/大師)、クートフーミやモリヤから霊的な指導を受けた人物。クートフーミはかつてピタゴラス(紀元前582年~紀元前496年)に姿を変えていたことがあるとされる。

古代の叡智を守り伝えるマスターは限られた人間しか姿を見ることができない。ブラヴァツキー夫人によると、マスターにはソロモン王や釈迦、老子、孔子、フランシス・ベーコン、サン・ジェルマン伯爵などがいる。144人のマスターたちによって構成されているのが秘密結社グレート・ホワイト・ブラザーフッド。シャンバラにいる世界の王が頂点で、世界の王の祖先はヴィーナス。

神智学協会の初期の指導者チャールズ・ウェブスター・レッドビーター(日本の通称はリードビーター)によると、グレート・ホワイト・ブラザーフッドのリーダーはサナト・クマーラとされている。なお、リードビーターは世界に影響を与えたチャクラの著者。

チャクラ C.W.リードビーター著
チャクラ C.W.リードビーター著

十一面の顔

千千手観音坐像はどんな人々にも救済の目が届くことを表す十一面の顔も特徴的です。

その姿から十一面千手千眼観自在菩薩(じゅういちめんせんじゅせんげんかんじざいぼさつ)、十一面四十二臂(ひ)像とも呼ばれます。

本来仏様の手を数える時は本ではなく臂(ひ)。例えば顔が3面で手が6本ある場合は三面六臂という。

千手観音はまれに一面や二十七面の像もある。

③観音三十三応現身を表す光背

観音三十三応現身とは、衆生を救済するために変えて現れる33種の姿のことです。

光背とは、仏身から発せられる光明を視覚的に表現したもの。仏像の背中にある装飾。後光。

観音経で説かれている三十三応現身の詳細はこちらです。

観音三十三応現身詳細
1仏身(ぶっしん)如来
2辟支仏身(びゃくしぶっしん)一人で悟りを得た者
3声聞身(しょうもんしん)仏の教えを聞いて悟りを得た者
4梵王身(ぼんおうしん)梵天
5帝釈身(たいしゃくしん)帝釈天
6自在天身(じざいてんしん)自在天
7大自在天身(だいじざいてんしん)大自在天
8天大将軍身(てんたいしょうぐんしん)大将軍神
9毘沙門身(びしゃもんしん)毘沙門天
10小王身(しょうおうしん)
11長者身(ちょうじゃしん)金持ち
12居士身(こじんしん)在家の信仰熱心な信者
13宰官身(さいかんしん)役人
14婆羅門身(ばらもんしん)司祭階級
15比丘身(びくしん)僧侶
16比丘尼身(びくにしん)尼僧
17優婆塞身(うばそくしん)男性の信者
18優婆夷身(うばいしん)女性の信者
19長者婦女身(ちょうじゃぶにょしん)女性の金持ち
20居士婦女身(こじぶにょしん)在家の信仰熱心な女性の信者
21宰官婦女身(さいかんぶにょしん)女性の役人
22婆羅門婦女身(ばらもんぶにょしん)女性の司祭階級
23童男身(どうなんしん)男性の子供
24童女身(どうじょしん)女性の子供
25天身(てんしん)八部衆の天
26龍身(りゅうしん)八部衆の龍王
27夜叉身(やしゃしん)八部衆の夜叉
28乾闥婆身(けんだつばしん)八部衆の乾闥婆
29阿修羅身(あしゅらしん)八部衆の阿修羅
30迦楼羅身(かるらしん)八部衆の迦楼羅
31緊那羅身(きんならしん)八部衆の緊那羅
32摩睺羅迦身(まごらがしん)八部衆の摩睺羅迦
33執金剛身(しゅこんごうしん)金剛力士

観音経は法華経の中の経典。観音の名称の由来や功徳などを説いている。観音三十三応現身のことを普門示現(ふもんじげん)とも言う。

密教の経典「摂無礙経(せつむげきょう)」で説かれている観音三十三応現身は観音経とほぼ同じですが、次の部分が異なります。

摂無礙経の名称観音経の名称
19人身(じんしん)長者婦女身(ちょうじゃぶにょしん)
20非人身(ひじんしん)居士婦女身(こじぶにょしん)
21婦女身(ぶにょしん)宰官婦女身(さいかんぶにょしん)
18童目天女身(どうもくてんにょしん)優婆夷身(うばいしん)

千手観音の眷属

千手観音は二十八部衆を従えています。

二十八部衆は千手観音に仕える仏神で、仏法の守護、千手観音を信仰する者を守護する役割を持っています。

二十八部衆の多くは戦いを象徴する武将の姿をしている。甲冑を身にまとい、鉾や剣などの法具を持っている。

二十八部衆には四天王、龍王、仁王(金剛力士)、鬼神、夜叉などが属していますが、その多くが古代インドに起源をもつ仏神です。仏教に帰依(きえ)して護法善神となりました。

帰依とは、神仏の力を信じてその力にすがること。仏・法・僧の三宝に帰依することを三帰依といい、仏教に対して信仰を示す基本的なものとなっている。

参考までに、京都にある三十三間堂の二十八部衆をご紹介します。

詳細
那羅延堅固
(ならえんけんご)
仁王(二王)の阿形にあたる。吽形(蜜迹金剛士)と一対で寺院の表門に安置されることが多い。寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神としての役割を持つ。

梵名はナーラーヤナ(Nārāyaṇa)。ヒンドゥー教のヴィシュヌの異名。漢訳仏典では那羅延天(ならえんてん)と音写。音写とは梵語の音をそのまま漢字に写す技法。仏教経典では毘紐天(びちゅうてん)。
難陀龍王
(なんだりゅうおう)
仏法を守護する八大竜王の第一番に数えられる龍王。密教の請雨経法(しょううきょうほう)の時に拝まれる。請雨経法は雨乞いや洪水時の止雨など、天変地異を防ぐための護国修法のこと。

梵名はナンダ(Nanda)。歓喜を意味し、別名を歓喜竜王という。難陀龍王は跋難陀龍王(ばつなんだりゅうおう)の兄にあたる。この兄弟は六観音の一尊 准胝観音(じゅんていかんのん)の眷属の二大龍王として知られる。
摩睺羅
(まごら)
仏法を守護する護法善神の一尊。音楽の神。二十八部衆や天龍八部衆に数えられる。

梵名はマホーラガ(Mahoraga)。「偉大なる蛇」を意味する。
緊那羅
(きんなら)
仏法を守護する護法善神の一尊。インド神話に出てくる特に歌声が美しい音楽の神。天龍八部衆に数えられる。ヒンドゥー教では馬頭人身、もしくは人頭馬身の姿とされる。

梵名はキンナラ(Kiṃnara)。半神半獣の精霊。漢訳で人非人。仏教では帝釈天の眷属とされ、密教では毘沙門天の眷属とされることが多い。
迦楼羅
(かるら)
インド神話の神鳥ガルダが前身。天龍八部衆、後には二十八部衆に数えられる。鳥頭人身で鷲の爪と赤い翼を持ち、顔は白、胴体は金色に輝くことから金翅鳥(こんじちょう)とも呼ばれる。翼を広げると336万里もあり、口から金の火を吹き、龍(蛇)を食べる。仏教では衆生の煩悩を喰らう霊鳥として信仰を集める。

梵名はガルーダ(Garuḍa)。ヒンドゥー教の神ヴィシュヌ(那羅延天)の乗り物であったことから、那羅延天を背負う鳥の姿で描かれることもある。密教では梵天、大自在天、文殊菩薩の化身とされる。
乾闥婆
(けんだつば)
持国天の眷属。四天王に仕える八部鬼衆、仏法を守護する天龍八部衆に数えられる。

インド神話ではインドラ(帝釈天)に仕え、音楽を演奏する半神半獣の神。太陽の炎を象徴する神格を持ち、医薬にも通じている。神酒ソーマ(神々の飲料・霊薬)を守る。酒や肉を食べず、香を栄養とし、自身からも香気を発する。処女の守護神でもある。

梵名はガンダルヴァ(Gandharva)。乾闥婆と音写。香食と訳す。密教では胎児や幼児の守護神。子供を襲う十五の鬼を捕縛する。
毘舎闍
(びしゃじゃ)
持国天の眷属。八部鬼衆に数えられる。元はインド神話に出てくる鬼神ピシャーチャ。人肉(死肉)を喰らうことからヴェーダでは喰屍鬼(グール)とも呼ばれる。

梵名はピシャーチャ(Piśāca)。仏教では毘舎闍と音写される。漢訳では啖精鬼(たんしょうき)。人や五穀の精気を食べる。
散支大将
(さんしたいしょう)
仏法守護の鬼神。金光明経に説かれる夜叉神で二十八部衆の夜叉神の頭領。元々は鬼神だったが毘沙門天(クベーラ)が仏教に帰依したことにより、散支大将(散支夜叉)も仏教に帰依して善神となった。毘沙門天の弟であるとも言われる。

梵名はサンジュネーヤ(Saṃjñeya)。
満善車鉢
(まんぜんしゃはつ)
満善車鉢はプールナバドラ(Purnabhadra)とチャガラパーダ(Chagalapāda)の二神の夜叉神を1つの尊名にしている。

満善は主にガンダーラ地方で信仰されていたプールナバドラ。八大夜叉大将に数えられる夜叉神。満賢夜叉(まんけんやしゃ)、満賢大将ともいう。富那跋陀(ふなばっだ)と音写する。

車鉢は金光明経鬼神品に現れる車鉢羅婆。金光明経のサンスクリットではチャガラパーダ(山羊の足を持つ者)とある夜叉神。
摩尼跋陀羅
(まにばだら)
毘沙門天に仕える夜叉神。八大夜叉大将に数えられる。

梵名はマニバドラ(Maṇibhadra)。インド神話に出てくる夜叉の名。宝賢夜叉(ほうけんやしゃ)ともいう。クベーラの兄弟で旅行者や商人の守護神。
毘沙門天
(びしゃもんてん)
帝釈天に仕え、仏法を守護する四天王の一尊。北方を守っている。単独で祀られる時は毘沙門天、四天王では多聞天と表される。元はインド神話の富と財宝の神クベーラ。ヴァイシュラヴァナともいう。

仏教が日本に伝来すると戦いの神として信仰される。聖徳太子は信貴山で戦勝祈願をした際、毘沙門天から戦勝の秘法を授けられている。上杉謙信も毘沙門天信仰で有名。平安時代には庶民の間でも毘沙門天信仰が広まる。発祥は京都の鞍馬寺。室町時代頃からの七福神信仰では七福神の一尊となっている。

梵名はヴァイシュラヴァナ(Vaiśravaṇa)。音写した名前が毘沙門天。ヴァイシュラヴァナは「よく聞く」という意味にも捉えられるので、それを中国語で意訳した名前が多聞天。毘沙門天は吉祥天の夫とされ、夜叉、羅刹が眷属。
提頭頼吒王
(だいずらたおう)
帝釈天に仕え、仏法を守護する四天王の一尊。別名は持国天(じこくてん)。東方の守護神であることから東方天(とうほうてん)とも呼ばれる。

梵名はドゥリタラーシュトラ(Dhṛtarāṣṭra)。「国を支える者・国を治める者」の意味を持ち、国家安泰の功徳がある。乾闥婆(けんだつば)、毘舎闍(びしゃじゃ)が眷属。
婆藪仙
(ばすせん)
仏法を守護する護法善神の一尊。胎蔵界曼陀羅や莫高窟の壁画に千手観音の脇侍(きょうじ/わきじ)に描かれる。脇侍とは本尊の両脇に控える菩薩や明王、天などのこと。

元はバラモン教の仙人。殺生の罪を犯し生きながら地獄へ堕ちたが華聚菩薩の力によって救われ、仏門に入って釈迦(ブッダ)へ詣でた。

梵名はヴァス(Vasu)。婆藪と音写。
大弁功徳天
(だいべんくどくてん)
金光明経鬼神品では弁才天と吉祥天を並べて大弁功徳と呼ぶ。胎蔵界曼陀羅では千手観音の脇侍に婆藪仙と功徳天(吉祥天)が、莫高窟の多くの壁画には婆藪仙と功徳天、もしくは婆藪仙と弁才天が描かれる。

弁才天は仏教の天部に属する一尊。七福神の一員で学問・智彗・財宝・幸福などを司る。弁天・大弁才天ともいう。梵名はサラスヴァティー(Sarasvatī)。ヒンドゥー教の川の女神が起源。インドで最も古い聖典リグ・ヴェーダで最上の女神とされる。ブラフマー(梵天)の妻。

吉祥天は仏教の天部に属する一尊。七福神に数える地域もある。美と幸福をもたらす。功徳天や宝蔵天女(ほうぞうてんにょ)ともいう。母は鬼子母神、夫は毘沙門天。梵名はマハーシュリー(Mahaśrī)。ヒンドゥー教の女神ラクシュミー(Lakṣmī)が起源。ラクシュミーは美・富・幸運を司る。ヴィシュヌの妻。別名はシュリー(Śrī)。シュリーはアーリア人がインドの地に侵入する以前、先住民が崇拝していた幸福・繁栄・栄光を司る女神だがラクシュミーと同一視されるようになる。
帝釈天王
(たいしゃくてんおう)
仏法を守護する護法善神の一尊。十二天に数えられる。十二天とは古代インドで信仰されていたヒンドゥー教やバラモン教の神々が仏教に取り込まれ、護法善神となった十二尊のこと。帝釈天・火天・焔摩天・羅刹天・水天・風天・毘沙門天・伊舎那天・梵天・地天・日天・月天が十二天。

帝釈天は三十三天(忉利天/とうりてん)の主で世界の中心にある須弥山(しゅみせん)の頂にある善見城(ぜんけんじょう)に住み、四天王を従え、須弥山世界を守る。妻は阿修羅の娘シャチー(舎脂)。

元はバラモン教の神インドラ。聖典リグ・ヴェーダで最も多くの賛歌がある天空の支配者、最高神。風水、モンスーンを司ることから豊穣神とされる。雷神の性格を持つ。

梵名はシャクロー・デーヴァーナーム・インドラ(Śakro devānām indraḥ)。優れた神々の帝王。シャクラは勇力を意味し釈と音訳、デーヴァは天・神、インドラは帝王を意味することから仏教では帝釈天と呼ばれる。
大梵天王
(だいぼんてんおう)
仏法を守護する護法善神の一尊。十二天に数えられる。色界の初禅天の王。悟りを開いてブッダとなった釈迦が「悟りの内容が難しすぎて人に話してもわかってもらえないのではないか」とためらっていたのを衆生に広めるように説得したのが梵天。これを梵天勧請(ぼんてんかんじょう)という。

梵名はブラフマー(Brahmā)。ウパニシャッド(古代インドの哲学文献群・奥義書)の最高真理「梵我一如」の梵。宇宙の根本原理ブラフマンが擬人化され、男性の創造神となったのがブラフマー。ヒンドゥー教では全宇宙の創造神。サンスクリットは梵天(ブラフマー)創ったとされるため梵語という。サラスヴァティー(弁才天)の夫。
毘楼勒叉
(びるろくしゃ)
帝釈天に仕え、仏法を守護する四天王の一尊。別名は増長天(ぞうちょうてん)。南方の守護神。

梵名はヴィルーダカ(Virūḍhaka)。毘楼勒叉と音写。ヴィルーダカは増長・成長を意味し、五穀豊穣を司る。鳩槃荼(くばんだ/鬼神)、薜茘多(へいれいた/餓鬼)が眷属。
毘楼博叉
(びるばくしゃ)
帝釈天に仕え、仏法を守護する四天王の一尊。別名は広目天(こうもくてん)。西方の守護神。

梵名はヴィルーパークシャ(Virūpākṣa)。毘楼博叉と音写。ヴィルーパークシャは特殊な目を有するという意味。千里眼(浄天眼)と拡大解釈され、広目と訳される。龍神、富単那(ふたんな/インドに伝わる悪霊)が眷属。

ヒンドゥー教のシヴァ神も第三の眼を持つのでヴィルーパークシャと呼ばれる。広目天は大自在天(シヴァ神)の化身であったことから、広目天の尊像には本来は額に第三の眼があった。
薩遮摩和羅
(さしゃまわら)
薩遮摩和羅は詳細不明。

薩遮は薩遮尼乾子経(さっしゃにけんしきょう)に出てくるジャイナ教の修行者サッチャカの音写。薩遮はサッチャカの可能性は高いが二十八部衆との関係はない。摩和羅は不明。薬師十二神将の摩虎羅大将(まこらたいしょう)の梵名はMahalaなので同一の可能性あり。
五部浄居
(ごぶじょうご)
色界の五浄居天の護法神。五浄居天は第四禅天(四禅九天)のうち、無煩天(むぼんてん)・無熱天(むねつてん)・善現天(ぜんげんてん)・善見天(ぜんけん)・色究竟天(しきくきょうてん)のこと。

梵名はSudhāvāsa。浄居天の神々。
金色孔雀王
(こんじきくじゃくおう)
金色孔雀王は詳細不明。

金色孔雀王の名は金色孔雀王呪経で初めて出てくるが呪文自体は尊格化されていない。「金色孔雀王は孔雀経を尊格化した孔雀明王のことである」との説明をよく見かけるが、二十八部衆の金色孔雀王は男性、孔雀明王は女性尊と性別が異なる。

莫高窟の壁画には千手観音の眷属として孔雀に乗った孔雀王がガルーダに乗った金翅鳥王と逆の位置に描かれ、中国山西省大同市の西方にある雲崗石窟(うんこうせっくつ)の第八窟には孔雀に乗る鳩摩羅天(くまらてん)が牛に乗る摩醯首羅天(まけいしゅらてん)の逆に彫られている。

チベット大蔵経デルゲ版にある訳者不明の千手観音の儀軌には、金色孔雀王に対応する尊格は鳩摩羅天と訳されている。金色孔雀王は孔雀に乗る鳩摩羅天と孔雀経信仰が習合したものと見ることができる。(参考 千手観音と二十八部衆の謎)
神母女
(じんもにょ)
仏教を守護する夜叉。インド神話の鬼女ハーリーティーが前身。

ハーリーティーはインドのラージャグリハ(王舎城)で500人(千とも一万人ともいう)の子を持ち、子育てする栄養をつけるため、夜ごと人間の子を捕えて食べていた。子供をさらわれることを恐れた人間が釈迦(ブッダ)に相談すると、釈迦はハーリーティーが最も愛していた末子のピンガラを神通力で隠した。

ハーリーティーは半狂乱となって世界中を探したが結局見つけることができず、釈迦を訪ねて助けを求めると「500人もいる子供のうち、1人いなくなっただけで嘆き悲しんでいる。おまえが取って食べた子の親の中には、たった1人の子を失ったものもいる。親の悲しみがどれだけ深いかお前もわかったでしょう。」と教えられ、改心して仏教の護法神となり、育児や安産を司る神となった。

梵名はハーリーティー(Hārītī)。訶梨帝母(かりていも)と音写。
金毘羅
(こんぴら)
菩薩蔵経ではラージャグリハ(王舎城)に住む夜叉神。釈迦(ブッダ)から授記を受けた。菩薩蔵経は玄奘三蔵がインドから帰国した後、最初に漢訳した梵語文献。

梵名はクンビーラ(Kumbhīra)。金毘羅と音写。元はインドのガンジス川に住むワニが神格化した水神。ガンジス川を神格化した女神ガンガーの乗り物。

金毘羅は薬師如来十二神将の宮毘羅(くびら)や金毘羅大権現と同一視される。金毘羅信仰では海上交通の守護神として信仰。
畢婆伽羅
(ひばから)
畢婆伽羅は梵名が不明な謎の尊格。

清水寺別当(長官)を務めた定深(1046~1119年)は畢婆伽羅を金光明経鬼神品の獼猴王(みこうおう)と同一視するが、梵名はマルカタ(Markaṭa)なので不一致。チベット大蔵経デルゲ版にある訳者不明の千手観音の儀軌には、畢婆伽羅はハーリーティーとパーンチカの末子ピンガラ(Pingala)とある。(参考 千手観音と二十八部衆の謎)
阿修羅
(あしゅら)
仏法を守護する八部衆の一尊。六道のうち修羅道(阿修羅道)を担当。元はインド神話に出てくるアスラ神族(魔神)。アスラ神族はデーヴァ神族(神々)と敵対する勢力。アスラ神族はヴァルナ、デーヴァ神族は雷神インドラ(帝釈天)を中心とする。

梵名はアスラ(Asura)。阿修羅と音写。アス(asu)は生命、ラ(ra)は与えるを意味し、生命を与える者となる。元々は正義を司る善神だったが、娘をインドラに略奪され、インドラに戦いを挑むようになり、復讐に燃える悪鬼とされた。鬼神として扱われるようになると、アスラのア(a)は否定の接続語と解釈され、スラ(sura)は神を意味することから非天(神ではないもの)と訳された。

asuraと古代イラン語ahura(アフラ)は語源的に同一で、アスラはゾロアスター教の最高神アフラ・マズダー (Ahura Mazdā) と起源が同じ。ヴァルナがアフラ・マズダーに対応する。
伊鉢羅
(いはつら)
インド神話に起源を持つナーガと呼ばれるコブラを神格化した龍王。

梵名はエーラパトラ(Elapatra)。伊鉢羅と音写。伊羅鉢旦羅(いらはつたら)や伊羅跋羅(いらばつら)ともいう。
娑伽羅龍王
(さがらりゅうおう)
仏教を護法する八大竜王の一尊。海や雨を司どる。

梵名はサーガラ(Sāgara)。沙羯羅と音写。大海・龍宮の王・大海龍王を意味する。空海が京都の神泉苑で請雨経法を行った際に現れた善女龍王(ぜんにょりゅうおう)は娑伽羅龍王の第三王女。京都醍醐寺の守護神 清瀧権現(せいりゅうごんげん)も善女龍王とされる。
蜜迹金剛士
(みしゃこんごうし)
仁王(二王)の吽形にあたる。阿形(那羅延堅固)と一対で寺院の表門に安置されることが多い。寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神としての役割を持つ。

梵名はヴァジュラパーニ(Vajrapāṇi)。金剛手を意味する。ブッダを守護する夜叉神。

仁王の阿形と吽形を1体のみで表した像は執金剛神(しゅこんごうしん)と呼ぶ。執金剛神の梵名もヴァジュラパーニ。起源はギリシア神話の英雄ヘラクレスであるとされ、ガンダーラの仏伝図には髭を生やして獅子の毛皮を身にまとい、手にこん棒を持つヘラクレスの姿で表現された執金剛神が出てくる。蜜迹金剛士も起源は同じとする考え方もある。

*蜜迹金剛士は一般的には密迹金剛士と表記されるが、三十三間堂の記念誌「無畏」には蜜迹金剛士と表記されているのでこちらを採用。お寺によって表記は異なる。

千手観音と二十八部衆の謎
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八部衆・二十八部衆 (日本の美術 No.379)
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金光明経 壬生台舜著
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ヒンドゥー教の本
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印と真言の本
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 まとめ

千手観音の理解度を深めると、千手観音の真言を唱えた時の力が強まります。お伝えした内容があなたの参考になれば幸いです。

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園 善博|この記事を書いた人

京都出身の速習法インストラクター。経営の神様と呼ばれた松下幸之助など数多くの有名企業が神仏に祈念しているのを見て「目に見えない運気を高めることが成功につながる」と考え、独立してから風水や西洋魔術、神道、真言密教、陰陽道など、多岐に渡るジャンルを先生に師事し、15年以上学ぶ。独自の「速習法」や「勉強法」を公開した書籍は10冊を超え、講師歴12年で10,000名以上の受講生を輩出。→プロフィール詳細へ

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